卒業

さく: ねこぽん

 Dear,

 うぐいすの声が聞こえるもまだ肌寒い今日この頃、いかがおすごしでしょうか。
こちらも名物の底冷えが厳しく、まだアンカを放せないでいるところです。

 2月の終わりに、あなたが推薦を決めてから、すっかりと縁遠くなってしまいましたね。
わたしもなんとか志望校に滑り込み、新しい生活を軌道に乗せたところです。
そちらのくらしはいかがでしょうか、何か困ったことにはなってらっしゃいませんでしょうか。

 楽しかった学園生活も、すっかり昔のことになってしまいましたね。
毎日毎日、問題集や参考書とにらめっこしながら、それでもときどきはバカやったりして、成績表の上下にみんなで一喜一憂したあの日々。
わたしにとっては、あなたとの大切な思い出です。

 今日お手紙したのは、あなたにどうしても告げたいことがあったからです。
時間がなくて、卒業するまでには言おうと思っていたこと、言う機会がなく、そのままになってしまっていました。
申し訳もありません。

 それでも聞いてくださるのなら、一度だけ深呼吸をして、聞いてください。

 わたしは、あなたのことが好きでした。
いつもいつも、わたしに笑いかけてくれる、話をしてくれる、そして時には頼ってくれる、そんなあなたが、とても好きでした。

 笑うあなた。
怒るあなた。
困り顔のあなた。
嬉しい顔のあなた。
みんな、わたしの大切な宝物です。
わたしにとっては、あなたは何よりも大切でした。
何より、あなたがわたしのことを、友達と思ってくれていたこと、絶対に、絶対に忘れません。

 そして、友達だと思ってくれているのなら、ひとつだけ、わたしのわがままを聞いてもらえませんでしょうか。
楽しかった日々の思い出として。
あの日々に、別れを告げるために。
そして、もう二度と交わらない、ふたりの道のために。

 わたしを、ふってください。

「嫌いだよ」でもいいです。
「さよなら」でもいいんです。
無言ですら、かまいません。

 そのまま、わたしのことを、忘れてください。

 ありがとう、大切な気持ちをくれた人。
あなたへの感謝の気持ちは、ずっと忘れません。

 3月31日 Sincerely Yours, ねこぽん

あとがき

 えー、ちゃあるさんの実話ネタにほだされて、つい書いてしまいました実話ネタ。これ、マジでやりました。もう覚えてないだろうなあ……風のうわさには、相手の人は結婚したとも聞くし。

 ちなみに、わたしがこれを出した相手さんに彼氏がいることは、知ってました。だから「ふってくれ〜」と気軽に言えたとも。